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吹雪の中の宙ぶらりん

 朝、9時前から雪、といっても半端な雪ではない。最初は風花かな?と思っていたら、あというまに吹雪みたいになってしまった。天気予報は「晴れ」なのに・・・。それも、雪が風にあおられて地面から跳ね返って斜め上に舞い上がってくるのだ。

 雪がまるで生命あるもののように左に右に舞い上がっている。 サッシのガラス越しに雪と自分の魂がシンクロしている不思議な時間だ。 ここにこうして降っている雪はいったいどこを飛んでいる雪雲から舞い降りてきたものなのだろうか?

 わざわざ、青森県金木町まで出かけなくても地吹雪体験ができるとは、もうビックリである。東の空には雲の向こうに太陽の輪郭がくっきりと見えるというのに、あっという間にあたり一面真っ白になった。こんな体験はスキー場以外ではなかったことだ。

 随分と昔のこと(多分、22,3年くらい前かな?)になる。 福島県のあだたら高原に日帰りスキーに行ったときのことだ。ちょうど低気圧がきていて、今日のように猛烈な風と雪に見舞われた。 リフトに乗ったまま、30分以上も宙ぶらりんで過ごした経験がある。

 強風が吹きつけるたびにリフトがユラユラ横揺れして、実にスリリングな気分を味わったものだ。 基本的に遊園地でも回転系のアトラクションに弱いこともあって、かなり動揺してしまったものだが、ペアリフトの傍らには当時つき合っていた彼女がいる。
 「無様な格好は見せられない。」
 こういうときにスキーの場合、ゴーグルやフェイスマスクで恐怖に引き攣った表情を隠すことなど容易なこととはいっても、あきらかにソワソワ落ち着かなくなっている。 このまま落下したら、彼女の下敷きになって彼女を救おうか、いや、それよりも、じかに雪面に落ちたほうが彼女の怪我は軽いかもしれない、彼女の上に落ちることだけは避けなければ、などということまで心配しているのに、彼女のほうは、「そのうち、動くわよ」と、遊園地気分で鼻歌など歌っていて動じる気配はない。 

 ざっと数えたところ、40数人が同じように不安げな面持ちで宙ぶらりん状態である。スキー場の係員の人が「オジサンたちも早く復旧するように頑張るから、元気を出してしっかり掴まっていてくださ~い。」と下のほうから拡声器でどなっている。我々を勇気づけるためかどうか知れないが、それまで場内にかかっていた音楽がユーミンから、急に鶴田浩二の歌う軍歌になっている。まるで右翼の街宣車だ。きっと、リフト小屋のオジサンがいつもカセットで聞いているのだろう。
「♪あ~ あ~ あの顔で~ あ~の~声で~・・・」 いかにも東北の温泉地のスキー場という感じだ。
「おいおい、俺らは特攻隊かよ。(冗談じゃない!)」

 動き出したかと思うと、10秒くらいでまた停止、そんなことを何回も繰り返し、30数分後、やっとのことで助かったのだが、結局、その後、雨が降ってきて、風もやむ気配がなく、雪崩の危険も出てきたため、スキー場の営業はそこで打ち切り。 彼女の遅刻で到着したのが遅い上に、ゆっくりとランチをとっていたためにゲレンデにいた時間は1時間少々。
 車の中では、無言の彼女のふくれっ面。 
  「3月にスキーなんか来るもんじゃないわね。」
  「ご、ごめん・・・」
 でも、「今度スキーに行かない?」っていったのはアンタだろ! 寝坊して1時間も遅刻してくるなよなあ・・・。 フラストレーションだけが縦横無尽に脳内ゲレンデをすべりまくったスキー日帰りツアーとなったのであった。 

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