« カメラは口ほどにものを言う | トップページ | 霜柱 »

博士の愛した数式

 今年、最初に読んだ小説は小川洋子の「博士の愛した数式」(新潮社)だった。年末年始に読む本を図書館で借りてきた中の一冊だ。他には小澤征良の「終わらない夏」(集英社)と前川麻子の「明日を抱きしめて」(新潮社)を読んだ。 

 実は、三冊とも初めて読むのではない。去年、読んだ本の中で連休を利用してもう一度じっくりと読んでみたいと思ったものだ。「博士の愛した数式」は映画になるというのもあったが、昨年読んだ本の中では一番印象に残ったのだ。実は小川洋子の小説はデビュー作というか芥川賞を受賞した「妊娠カレンダー」から読んでいる。読みたいと思った動機は極単純。新聞に載った彼女の写真が大学時代にちょっと淡い恋心を抱いた2つ年上の同級生の女の子に似ていたから・・・(*^_^*)。 

 その彼女も実は小説を書いていて、同い年で「海を感じるとき」で群像新人賞を受賞したばかりだった中沢けい(当時、確か明治大学の夜間部に在学していたの)にライバル心を燃やしていた。

 彼女とは同じゼミだったし、たまたま夏休みの課題で同じテーマについて共同研究をしていた関係で、彼女の郷里の浜松のバイト先である松菱デパートまで押しかけて、レポートの仕上げをやったりしたが、4年生になったあたりから、いつも図書館にこもっては、卒論そっちのけで、「私も新人賞をとるんだ」と小説の執筆にいそしんでいたものだ。

 卒業後、どうしているのか?と思っていたところに、平成2年の芥川賞を受賞した小川洋子の写真をみて、「あ、彼女だ」と思ったのだが、プロフィールを見ると、早稲田の一文卒ということだったので、まったくの別人であった。

 前置きが長くなったが、以来、そういう縁あって小川洋子の作品はほとんど読んでいるのだ。ぼくは彼女の作品には、おどろおどろしい人物が登場するものの、極悪非道の悪人というのがまったく出てこない、最後はみんなが幸せな雰囲気で終わる、そういう点で、モーツアルトのオペラみたいな感じだ、と思う。モーツアルトのオペラの中では、人が殺されない。 いろんな事件はおこるものの、フィナーレではみんなが幸せになる。 そういう意味で、今回の「博士の愛した数式」もほんわりとした幸福感に浸って終わる点で、いかにも小川作品らしいといえるのではないか? なによりも、彼女が取り上げるテーマがなんと多岐にわたっていることか。 どれも、あまりこれまで他の作家がテーマとしてこなかったもの、小説の世界になかったものを小説とコラボレーションさせるような手法は見事だ。 いったい、誰が、文章と数式を同列に小説の中で扱っただろう?

 映画の博士役は寺尾聡がやるみたいだが、去年ぼくが読んだあと、もしこれを映画化するなら、柄本明にやってほしいなあ、家政婦・杏子の役は、宮崎美子がいいかも、なんて考えていたのだが、確かに、宮崎美子では、残念ながら年齢があわないかも。

|

« カメラは口ほどにものを言う | トップページ | 霜柱 »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132155/8241147

この記事へのトラックバック一覧です: 博士の愛した数式:

« カメラは口ほどにものを言う | トップページ | 霜柱 »