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冬のソナタ~雪の日のピアノコンサート

 大学入試センターの日は本当によく雪が降るものだ。今年は特に息子が受験するので、昨日から「雪に関する情報」には気をもんだし、雪かきをやらなければ、という問題もあって、気が気ではなかった。かなり雪が舞ったものの、新潟県のような大事にいたるほどの積り方ではなくてホッとした。これくらいの雪で何だかんだ言っては、本当に日本海側の皆さんに申し訳ないことだ。

 田間宮生涯学習センターで、地元の作曲家・室谷章(むろやあきら)さんのピアノリサイタルがあった。本当は、クレアこうのすという市の文化センターで、落合恵子(「あなたのレモン落合恵子」も還暦を過ぎたようだが・・・)の講演会もあったのだが、雪だったし、副館長さんに折角整理券を確保してもらったので、コンサートに行くことにしたのだ。

 雪が小止みなく振る中ではあったが、かなりの聴衆が集まり、盛況であった。 残念ながら会場がコンサートに向く、とは決していえないところ(特に防音とか照明とか)であったが、奏者と聴衆が同じフロアで、ピアノをグルッと取り囲むような配置で、座席がゆったりと設けられていたので、あれはあれで、アットホームな雰囲気でよかったかも知れない。

 室谷さんは地元出身で芸大の作曲科を卒業した新進気鋭(34歳)のピアニストで、昨年はニューヨークのカーネギーホールでも自作のピアノ曲を披露してきたそうだ。CDも2枚リリースし、よくこのセンターのロビーなどのBGMとして使われているらしい。

 プログラムは、バッハのプレリュード(平均律クラヴィーア曲集)で始まって、前半はモーツァルトのトルコ行進曲とK189番のピアノソナタ(第二楽章)、ベートーヴェンの悲愴、後半は室谷さん自身の作曲したオリジナル曲と編曲したミュージカル、それに即興演奏などだった。途中で、室谷さん自身による曲の解説や副館長さんとのミニトークなどもあり、非常にバラエティに富んだ内容で飽きなかった。

 前半のクラシックステージは、緊張のせいか、ミスタッチが目立ったものの演奏解釈自体は大変新鮮な感動を覚えた。かなりテンポを意図的に揺らしていたような感じで、これまで聴き慣れたフレーズなのに新しい魅力が溢れていた様に思う。作曲家の意図したものを忠実に再現するテキストのような演奏というよりも、やはり、本来が作曲家であるだけに、「自分だったらこうするな」みたいな解釈が随所に見られ、これはこれで大変面白かった。これだから、クラシック音楽鑑賞はやめられない、というものだ。

 後半は、お得意の即興演奏から入ったせいか、前半と比較して「これが同じピアニストか」と思われるほど、どっしりとした自信に満ちた演奏だった。もちろん、自作自演なのだから「俺がレフェリーだ。文句あるか?」みたいな感じ(デビュー当時の吉田拓郎や泉谷しげるみたいなもんだね。)で、こちらも安心して演奏に身を委ねることができた。ああ、これは文字通り、彼の言葉、心が乗り移って旋律になっている、という気を強くした。 こう結論付けてしまうのは尚早かもしれないが、やはり彼はピアニストではなくてコンポーザーなのだ。「楽譜は僕の頭の中にある、実際の紙には書いていない。」というのも、彼が言っているように「面倒なことになる」というよりも、どうなのだろう? 彼が楽譜にしたものを他のピアニストがどう解釈して演奏するのかが怖い、ということもあるのではないだろうか? 作曲家というのは、そこのところを理解してふんぎならければならない宿命を負っているのだ。

 アンコールに「冬のソナタ」をモチーフにした即興演奏を行ったが、雪の降る情景を写す窓ガラスをバックに(実際はカーテンが引かれてあったが)聴く「冬ソナ」のテーマはまさに心憎い演出であった。 こんな楽しい気分にさせてくれるコンサートが、ご近所で、しかもタダで聴けるなんてありがたいことだ。 ここのところ、生の演奏に飢えていたからな・・・。

 

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コメント

室谷です。聴きにいらしていただき、ありがとうございました。クラシックは緊張します・・・。

投稿: むろやん | 2006年2月 2日 (木) 01時04分

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