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奇蹟の方程式?

 3月に入ってからずっと、我が家は重苦しい雰囲気に包まれていた。そう、長男の進学先が未定状態だったためだ。 3勝6敗。よくもまあ、こんなに受験しまくってくれたものだが、入試検定料だけで、かなりの出費だった。 おまけに、合格したのは高校から半ば強制的(サンデー毎日の合格者数の上位、すなわち太ゴシックで表記される部分に高校の名前が出るように)に受験させられたよう大学で、本人はまったく行く気無しなのだ。志望する大学に関して言えば、全敗中。 そしてこのうちの3回の不合格は同じ大学の同じ学部に三タテをくらっていた(AO入試を含めれば4タテである)、つまり本命中の本命~第一志望校なのである。 最近の入試はセンター試験やAO入試などで、志望校を何回も受験するチャンスがあるが、さすがにこれだけ撥ね返されると、本人の落ち込みようは尋常ではなかった。 中学時代からの憧れの女の子にも、これくらい果敢にアタックしていれば、ヴァレンタインデーにチョコくらい貰えたろうに、そっちのほうはまるでオクテである。

 今シーズン最後の受験、それも3連敗中の本命校(当然、偏差値も一番高い)となった試験から帰ってきた息子は、連戦連敗のため、かなり自信を喪失していて、「今日が一番難しかった」と一言力なくつぶやいたものだ。 さすがに先週10日に、本人としては滑り止めで受けたはずの大学にハネラレて、残すところは正真正銘の最後の最後の一つになってからは、親のほうとしても気が気でなく、町を歩いて、神社と見れば、所構わず賽銭をあげて合格祈願などしてしまい、「やれやれ、この賽銭代も馬鹿にならんわ」とブツブツ。  

  彼は彼なりに、チョー苦手の英語を猛烈に勉強してきたため、模試などでは結果は残せなかったものの、自分なりにかなりの感触を得ていたようだったのだが、センター試験の英語では大方の予想に違わずズッコケテしまい、それが他の試験にも影響してしまったようだ。 英語以外の平均では偏差値は65を超えていたのに、英語が40にも届かないようでは、どこの大学も合格はさせてくれない。 昨夜も最後の合格発表を前にして、昨日、ポツリと「浪人かあ・・・」とため息混じりに弱音を吐いたものだった。

 「まあ、縁がなかったものと諦めて、あと一年、英語漬けの日々を送ることだな。 おまえ、予備校なんて、お父さんも通ったことがないんだから、貴重な経験だと思って頑張りな」と明るく冗談っぽく励ましてやりたかったが、こちらも、かなり精神的にイライラしていたので、口調がキツクなってしまったようだ。 息子は私の顔を睨みつけて、力なくドアを閉めて、自分の部屋に閉じ籠ってしまったものだった。

 だが、しかし・・・ 今日、奇蹟はおきた。 9回裏ツーアウトからの逆転満塁ホームランである。 11時5分、職場で携帯がなった。 
「お父さん、浪人しなくてもいいかも知れない」
「大丈夫か? この前みたいに他の大学の受験番号だった、なんてことじゃないだろうな?」
「う、う~ん。 心配だから、お父さんも確認してみてよ」
自分でインターネットで確認したらしいのだが、まだ自信がなさそうな口調である。

 職場のパソコンを使うのは気がひけたが、アクセスしてみた。 受験番号は昨日、聞いてメモしてあった。 間違いない。 365人分の24人の中に入っていた。

「よかったな。 おめでとう。 第一志望校に入るなんて、お父さんでもできなかったんだからスゴイもんだな。」
「ありがとう。」
やっと、明るいいつもの声になった。
「お母さんと、お祖父ちゃんにすぐに知らせてあげなさい。あと、高校の先生にも」
「うん」

 「なんで私が東大に?」「偏差値30からの大学受験」等々、予備校のキャッチコピーが次々と思い起こされた。 実際の話、この大学に関しては、進研、河合塾、代ゼミなど、どの模試でも、一度も合格判定でE評価(合格可能性20%未満)から抜け出ることができなかったのだから、奇蹟とよんでもいいだろう。 「どうしても合格したい」のではなく、「この大学で勉強したい」という彼の執念が、最後の最後にドラマを演出してくれた。 曇天が一気に晴れ上がったようだった。 あるいは、神様が、そんなに、この大学に入りたいのなら、ひとつ入れちゃろか!と気を利かせてくれたのかもしれない。 賽銭も無駄ではなかったか。合格率20%でも、都合5回も受験すればなんとかなる(20×5=100?)、ということだろうか。 まあ、結果オーライ、今の受験制度は、トテモいい受験制度だということにしておこう。 
 

 話は変わるが、WBCで、再び日本は韓国に敗れた。 実力云々よりも韓国チームの「優勝よりも、日本に勝ちたい」という気持ちが、日本のそれを上回った結果だろう、と思う。 気持ち、精神力、息子は確かに、追い詰められて、最後に、初めてそこに集中することができたのかもしれない。 奇蹟を呼ぶ方程式というところかな・・・。 CIMG0021

 午後からの半日が非常に早く過ぎ、帰宅すると2月末から体調を崩していた細君が、テキパキとはいえないが、さすがに今日は、台所に立って夕食の支度をしていた。 これが特効薬となって、気分を持ち直してくれるといいのだが。 すべていい方向に・・・。 仏壇に飾ってあった達磨を持ってきて、息子が片目を入れた。 高校入試のときに買ってきたものだったが、思い適わず「大学受験のときに志望校に入って目を入れるね」と、そのままにしておいたものだった。 息子の笑顔を久しぶりに見た。 また、ちょっぴり大人になったような気がした。

 

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